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着物(和服)
丸洗い、しみ抜き、洗い張り、特殊し
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立てなどご相談可能です。

みやこブログ

日付2017年06月29日

しみ抜き講習会

 2回目の講習会では、3つのテーマを依頼されました。
和服のシミ抜き、 汗抜き、 色掛け、 との事でしたが、
この3点は、すべてシミ抜きの工程で行う事ですので、つながりがあります。
汗抜きも、色掛けも、シミ抜きの工程の処理内容に含まれておりますので、
お時間の許す限り、皆様と共に学習してまいりたいと思っております。
 
 また、今回は実技中心で行いたいとのご希望ですので、
簡単な、流れにてご説明させて頂きます。

シミ抜きの前に
 受付にて、洗い、シミ抜きに問題が無いお品物かどうか、十分にチェックを行い分別致します。(生地が弱っていないか、金彩加工はしっかりしているか、など)
 
 和服の場合、当社では、洗いの前に襟、袖口、裾、などの汚れ、ファンデーション、など、前処理として溶剤やソープなどで、ブラッシングを行います。
その後、すすぎの感覚でドライクリーニングを行います。(絹製品の場合)
この洗いにより、新しい(落ちやすい)油溶性のシミは落ちてしまいます。
汚れも、洗いの工程で出来るだけ除去します。

シミ抜き
 
 ここからが、シミ抜きの工程になりますが、別紙にシミの分類を記載していますので、ご参考までに見て頂ければと用意致しました。

 シミは単に水溶性、油溶性、タンパク質系、不溶性、変色、などに分かれている訳ではなく、それらが複数に重なっているものが多く、色々な処理を重ねて行う事により、シミが除去されていくものです。

 シミの成分が重なっている場合、優先順位は、1つの目安ですが、

 油性処理>水性処理>蛋白処理>漂白処理>色掛け>地直し

などの順で行います。シミの種類によって多少変わります。

油性処理
 
 ドライ溶剤より強い薬品を、弱い順に使用します。
ブラシに薬品を染み込ませて、擦れをおこさない様にブラッシングまたは叩き出します。下地に白い布を敷き、シミを写し取ります。
ペンジミ、インクなどはドライソープを少量だけ併用すると効果的に処理できます。
ソープを使いすぎると輪じみがぼかしきれなくなり、再び洗いが必要になってしまいます。市販の油取り剤やインクキラーなども使い方によっては効果を発揮します。

当社では、ベンジン、エタン、アセトン(またはシンナー)の順にテスト致します。
水ベンジンやモノクロールベンゼンは揮発性の点で、輪じみになりやすく、ぼかしづらい為、使った後は洗いが必要になります。

薬品が強ければ、強い程、生地に影響が有り、色がにじんだり、柄が落ちたり、金彩が剥がれたりします。十分なテストの上で処理を進めましょう。

水性処理

油性処理と同じように、下地に白い布を敷き、超音波シミ抜き機でシミを下地に写し取ります。(バキュームでも可)
 マルセル石鹸、ヘラなどを併用して、シミを揉んでから処理を行うと効果的です。
 シミがある程度除去されましたら、丁寧にぼかし、自然乾燥をする。(自然乾燥は、輪じみに成りにくく、残ったシミの成分も散らしてくれる効果が有ります。)

蛋白系処理

蛋白質を分解する為、蛋白分解酵素を使います。粉よりも液体酵素(トリプラーゼなど)が使い安く感じます。
 酵素をシミにシップします。時間を長く効かせる為、ビニールで挟んだり、CMCやグリセリンなどを混ぜたりするのも効果が増します。
 水分を保ち、出来るだけ人肌程度の温度で酵素を効かせます。
数時間後、超音波シミ抜き機でシミをすすぎ出し、水溶性処理と同じようにぼかして、自然乾燥します。(血液にはアンモニアなどを混ぜると効果が増します。)

漂白処理

シミの種類、生地の性質を考慮した上で、適性のある漂白剤を弱い順にテストして行きます。コテを使用して熱を与えると効果が増します。
(マルセル石鹸も使い方次第で漂白作用が有り、生地にも優しく使える為、最初の薬品としてお勧め致します。)
 水の中に入れられるお品物は、全体漂白(漬け込み)も効果的であり、部分的なムラも出来にくいのでお勧め致します。(風合い変わりや、シワが出たり、縮みなどを考慮した上で行う)色柄ものはお勧め出来ません!

シミとの相性 一例

薄い黄ばみ---マルセル石鹸
黄変---過酸化水素
食べ物の変色---カホウ酸
古いシミ---蓚酸(生地が弱り過ぎている場合は不可)
色素---ハイドロサルファイト

強い薬品を使用した後は中和をする。
マルセル石鹸は弱アルカリ性ですので、多少効果が有ります。
(中和剤)
酸としては酢酸、アルカリとしてはアンモニアが良いとされております。
酸化剤に対する中和剤として、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)が知られています。
ハイドロサルファイトや蓚酸なども中和剤として使われる事もあります。
薬品が残らない様に、丁寧にすすぎを行いましょう。

色掛け(染色補正)

元々の色抜けや、シミ抜きにより色抜けした部分に染料を筆や刷毛でのせて行きます。周りの生地と同じ色ではなく、周りの生地の色から残ったシミの色を引く感覚で色を選んで行きましょう。一色だけでは周りと合わないことが多く、生地の上で掛け合わせて、周りと調和させます。
 濃くなり過ぎた場合は、すすぎ直すか、反対色で抑えたりします。
色の3原色と反対色の関係は別紙で用意しましたので、参考にご覧下さい。

色を定着させる為、色止めを行います。
染料に酢酸を配合したり、熱を加えたり(蒸す)します。
色掛けは完全な染めでは有りませんので、元々の染め色よりは弱く、次回のクリーニングで薄くなってしまう事もあります。(生地質によります。)

 お品物によっては、顔料、アクリル染料なども使えますが、塗りすぎると、光沢が変化したり、硬くなったりしますので、注意が必要です。

地直し

帯まわりの擦れや、しみ抜きよって出来てしまった擦れを、擦れ修正剤や油などで、丁寧に修復します。柔らかい布などに油を染み込ませて、擦れの部分に刷り込みするのが効果的ですが、これは、次回のドライクリーニングで落ちてしまいますので注意して下さい。(次回のドライクリーニングでも修正が必要です)
 全体の擦れには、流動パラフィン(液体のロウ)が効果を発揮します。
ドライ溶剤で20倍程度に薄めて、お品物を漬け込み、脱液して自然乾燥します。
 シワや縮みをコテやアイロンで元通りにして終了します。

汗抜きにつきましては、昨年作りましたテキストをコピーさせて頂きます。
汗処理

 最初に汗の成分について触れておきます。
汗の大部分は水です。水以外の成分では、塩化ナトリウム(塩)が約0.65%、尿素0.08%、乳酸0.03%などです。
 基本的に汗によるシミは水溶性のシミになります。その為、除去には洗い張りや、特殊染み抜きが必要になります。
 汗が付着してから、時間が経過しますと、シミの部分が黄色くなっていきます。これを黄ばみと言い、修正するには、漂白、色掛け(染色補正)擦れている場合は地直しが必要になります。(代表的な漂白剤、過酸化水素、ハイドロサルファイト、塩素系ナトリウム(ハイターなど)蓚酸、などなど、お勧めは生地を傷めないマルセル石鹸です。)
 和服の場合、汗処理は基本的に洗いで皮脂などの脂分を落とし、染み抜きにて大量の水ですすぐ形になります。しっかりと処理しなければ、更なる黄ばみを発生させるもとになります。

汗抜き手順

1、 汗、汚れ、シミの状態を全体的にチェックする
2、 洗い(ドライクリーニング)にて、皮脂等の脂分を除去します。
3、 汗をかきやすい胸から脇、背中、帯下を中心に、ブラシや超音波しみ抜き器で、汗の成分(塩分も含む)を下敷きの布に写し取り除去します。(吸引でも可)
4、 丁寧にぼかし、自然乾燥する
5、 シミが取れたのを確認し、縮みなどをアイロンやコテで修正する

 絹は塩分を吸収すると硬くなり、きついシワが出来ます。また、汗の残った状態で放置すると黄色や茶色に変色し生地が弱くなります。
 既に輪ジミになっている部分や黄変している部分は染み抜きが必要になります。
 変色してしまった汗じみは、汗抜きでは取れませんので、薬品による特殊染み抜き、染色補正、地直しなどが必要になります。

*それでは、皆様と一緒に実技(実地)でシミ抜きをして見たいと思います。

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